2012年2月10日金曜日

Winners Fund(ウィナーズファンド) で儲けましょう vol.20

競馬を嗜む人ならば「大数の法則」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。 ギャンブルに関して使われる場合、【ギャンブルは負けるものである】といった否定的な見解を証明する根拠として用いられることが多い。 「大数の法則」とは確率論・統計学の一つの定理で、「ある試行において起きる事象に偏りやばらつきがあったとしても、その試行回数を増すにしたがってより理論値に収束していく」事を言う。
サイコロを例にとってみると、サイコロを振って出る目は最初の頃ある特定の目に偏ることがあるが、回数を重ねていくにしたがってどの目の出る確率は6分の1になっていく。 またルーレットの場合、1から36と0,00の計38の目があるが、0と00は無条件にディーラーの勝ちとされる。 数回の勝負では客が勝つこともあるが、長く勝負を続ければ36:38の比率で約5%ディーラーが勝つことになるわけだ。
競馬の場合はどうだろうか。 日本の中央競馬は、賭金の総額から25%が控除され、残りの75%が勝者に配分される。 すなわち、賭金の75%が返ってくることになる。 では、誰でも回数を多く競馬をすれば、賭金の25%が失われて、75%が戻ってくる、という値に近づくのだろうか。
ギャンブルについての本「ツキの法則」(谷岡一郎著)によると、競馬は大数の法則により「確実に負ける」と断定されている。 しかし、大数の法則が述べていることは、もし競馬の配当金の期待値が75%であったならば、賭けの回数を増やせばその配当の平均値は75%に近づくと言っているに過ぎず、 配当金の期待値が75%であるとは言えない。 重要な点は、「賭けたお金が参加者に戻される率」と「個人の期待値」が異なるという点である。 この問題は統計や確率論だけでは解くことができない。
この点をはっきりするために、もう少し別の観点から考えてみたい。 もしここで、「神算鬼謀」の真剣師・修人と競馬を全く知らないAという人物が、(オッズや儲かるかどうかに関係なく)ただ「勝つ馬」を予想したとしよう。 この場合は真剣師の方が勝馬を当てる可能性は高くなるはずである。
もっと分かりやすく言えば、ここに馬の番号を1頭だけランダムに選ぶ機械があるとする。 この機械と真剣師を比べれば、勝馬を当てる確率は真剣師の方が高くなる。 競馬の玄人と素人、ランダムに番号を選ぶ機械、単純に勝馬を当てることだけ言えば、玄人の方が当たる確率は高いはずである。
1つのレースに平均10頭の馬が出ているとすると、馬の番号を1頭だけランダムに選ぶ機械は、回数が多くなるにつれ、勝馬を当てる頻度は10分の1(0.1)に近づく。 これに対し、真剣師は勝馬を予想するだけならば、もっと高い頻度で当てることができるだろう。 このように勝ち馬を当てる確率は人によって異なるはずで、うまい人と下手な人がいるはずである。
次の問題は、配当金の期待値も人によって異なるかどうかという点である。 競馬では必ずしも勝つ確率の高い馬の馬券を購入するわけではない。 自分が予想する馬の馬券になる確率とオッズ(倍率)を考慮して、馬券を購入するのが一般的だ。
勝つ確率が高い馬(本命)に賭けても配当が低ければ期待値は低くなり、勝つ確率が低い馬(穴馬)に賭けても配当が高ければ期待値は高くなる。 経験や知識から利のある馬を選べる真剣師と無作為に選ぶ素人では、配当金の期待値に差が出るのは当然だろう。 もし、どんな人にでも75%の期待値があるのであれば、経験や知識など全て無意味と言っているのと同じである。
以上から、プレイヤーの質が極端に均一化しない限り、大数の法則を突破し勝ち続けられる可能性はあると言える。 確率論・統計論は分析するための重要な指標になるが、これだけで全てを計ることはできないだろう。